紙は今からおよそ2000年前、中国の後漢の時代(105年)、皇帝和帝の皇后鄧綏(トウスイ)の命により、蔡倫(サイリン)という人が研究して、その製法を完成させたと言われています。
それから約500年後の610年に、高句麗の僧、曇微(ドンチョウ)という人によって我が国に紙の製法が伝えられ、その後、日本の各地で多くの人々の努力と研鑚と、日本人の感性によって、素晴らしい多くの和紙が生み出されました。
そして和紙は、2014年ユネスコ文化遺産に登録されました。
折り紙の始まりは残念ながらいつ頃からというはっきりした記録はありません。しかし、1797年に「秘伝千羽鶴折形」という世界最古の折り紙の本が発表されていますし、それより前、1734年建築の欄間の図式や、600年頃の「折鶴の松図小柄」という短剣の柄に、現在、私たちが折っている折鶴そのものが図案として使われていることなどを考えると、400年前か、もう少し以前から人々は折り紙を楽しんでいたのではないかと考えられます。そして今、折り紙は「ORIGAMI」として世界共通
語となって親しまれています。
折り紙には、複合折り紙という手法があります。複数の紙でパーツを作り、それを組み合わせて作品を作る折り方です。伝統的なものでは、「奴さん」と「袴」があります。比較的簡単に複雑な形を表現でき、格段に創作の幅が広がります。四つ足の動物を折るには、この方法が適していると考え、試みました。
動物には動きや仕草がありますので、わずかバランスの差で表現が大きく変化します。首や顔のわずか角度でも全く違う雰囲気が生まれます。
また、使う紙も、市販の折り紙だけでなく、包装紙や広告の紙を切り取って使用することをおすすめします。折りあがった時に、その模様や柄が思いがけない効果を生み出し、時には表情さえ感じさせることがあり、まるで焼き物を焼いた時のような創作気分が味わえます。特に最後に取り上げた犬は、古代より最も人と親しんできた動物で、その種類も多く、型や大きさも色々ありますので、これからお示しする折り方を組み合わせれば、色々な犬が折れると思います。
どうぞ皆さま、それぞれ独自の我が家の犬を折って楽しんでいただきたいと思います。